君の描いたクローバー〜遠く離れても、きっと〜
「あっ!あそこにフェルメールの絵がたくさん飾られてる!」

私の好きな画家の一人だ。私は工くんの手を引っ張る。

「フェルメール?」

「真珠の耳飾りの少女や牛乳を注ぐ女を描いた人よ!彼の作品はとても少ないんだ」

私がそう言って笑い、歩き出した時だった。胸がズキンと痛み、立っていられなくなる。

「……うっ!」

久しぶりに起きた強い発作に、私はこのまま死んじゃうのかなと怖くなる。嫌だ、死にたくない!!

「彩羽!!誰かっ!!救急車を!!」

工くんが叫び、私の肩に触れる。周りがざわついて、とても怖くてーーー。

「彩羽!!しっかりしろ!!」

工くんの叫び声を最後に、私の意識は暗闇に呑まれていった。
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