ずるいひと
翌朝、ガンガンと砕くような頭痛で目覚める。
上体を起こすと固い床で寝ていたせいでバキバキになっていて、思わず唸った。

隣で寝ている優也の寝顔を眺めていると、取り返しがつかないんじゃないかという恐怖で涙が流れた。
私は涙を拭って、彼を揺すった。

「優也、起きて。風邪引く」

優也も起き上がるなり体が痛いのか、うっと言ってしばらく動かなくなった。
そして、そのまま考え込んでいるようだった。

「昨日……何かあった?」

「うん」

「夢じゃないよね?」

「うん」

頭をかきむしって縮こまる優也に私は水を差し出すと、目を合わさないままコップを受け取って一気に飲み干した。

「ごめん」

そう言われると思った。
言わないでって言ったら、彼はさらに謝るだろう。
あれは間違いだった、本当に申し訳ないと、昨日をなかったことにしようとするだろう。

私は、空のコップを彼から奪った。
彼が反射的に私の方を見る。


「私は、ずっとここにいるから」


そう言って微笑む。
私だけは変わらずそばにいるよ、という顔で。


私はあなたよりずるくて悪い女かも知れない、とその場にはいない亜貴に話しかけた。
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