Secret Music
僕が強引にそう言うと、鳥本さんは「チェ〜」と言う。

作詞作曲を本人がしたいと言ったにもかかわらず、鳥本さん自身もあまり詳しくはないらしい。僕らはそれぞれ勉強することになった。



とりあえず、作詞作曲に関する本を本屋で見つけ、読んでから数日。頭の中に自分だけの旋律は浮かばない。

流れてくるのはいつも、自分の弾いている曲のものばかり。よくこんな難しい曲を作れたもんだ。作曲家の仕事をしている人たちの才能に盛大な拍手を送りたいよ。

休み時間、教室の隅で僕は友達と最近ハマっているゲームについて話す。友達と音楽の話をすることはほとんどない。カラオケには一緒に行くんだけどな……。

「この歌よくない?」

「うん!この新曲最高だよね!」

綺麗な声が聞こえて視線を向ければ、友達と楽しげに鳥本さんは話している。その表情は僕に向けるものとはまた違うもの。

放課後、僕と二人きりの時、鳥本さんは時々意地悪な顔をするんだ。正直、いつもと違うから戸惑うんだよね……。
< 12 / 17 >

この作品をシェア

pagetop