記憶の中の貴方
私が許されたのは、白木くんのところに行くことだけで、捜査をしていいとは言われていない。


急がなければならない。


それなのに、私の体力は相変わらずなくて、足がもつれそうになる。
不格好に息を切らしながら、喫茶店のドアを開ける。


「志鶴さん!?」


ギリギリ間に合ったようで、白木くんが驚いたような声で私を呼んだ。
店に入ったといっても、その瞬間に背中を丸めて膝に手を当てていたため、店内の状況はまだわかっていなかった。


ゆっくりと視線を上げていく。


ちょうど、先輩が白木くんに手錠をかけようとしているときだった。


急に足から力が抜けた。
自然に閉まっていたドアに背中を預ける。


涙が出そうになるのを、懸命に堪える。


先輩は私の言葉など待ってはくれず、カシャンと音がした。


「……どうして、光輝を殺したの」


私情を挟むな、と言われたのにいきなり決まりも自分の決意も忘れてしまった。
なにより、言わずにはいられなかった。


結局、知りたかったのは犯人と、なぜ光輝を殺したのか、だ。


すると、頭上から乾いた笑いが聞こえた。


「志鶴さんは、本当に光輝さんしか見えていなかったんですね」
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