家庭男子はどうですか?
「ありがとう!今度はマカロンを作ってみるね!」

僕が嬉しくてそう笑うと、真凛ちゃんは「いやいいって……」と呟く。でも、その目は少し嬉しそうなのを僕はちゃんと見てるよ。

真凛ちゃんは、僕の好きな人。ずっと片想いをしている人で、こうしてお菓子を作ったりしている。

クールな性格だから、「諦めろ」って言ってくる人もいるけど、僕はどうしても諦められないんだ。



あれは、僕がこの高校に入学したばかりの頃。

僕は男子にしては背が低い方で、体も細い。しっかりご飯は食べてるのにな……。

勉強は得意だけど、運動はあまり得意じゃない。逆に料理とか裁縫とかが好きなんだ。「女子より女子力が高い!」って言われたことがあるよ。

五月に入ってすぐのこと。四限目の授業が終わり、至福のご飯の時間。僕はかばんの中からお弁当箱をーーー。

「あれ?お弁当ない……」

家に忘れてきてしまったらしい。せっかく上手にナポリタンが作れたのにな……。家族のお弁当は僕がいつも作ってるんだ。
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