あの日の空にまた会えるまで。

忘れさせて



夏が終わった頃、悠斗と春が付き合い始めた。

2人並んで報告をしてくれた時、悠斗の心底嬉しそうな顔はこちらまで何だか嬉しく思うほどだった。

2人は遅かれ早かれ付き合うのだろうとは思っていたから、報告を受けた時は特に驚きもしなかったし、なんなら真央と「遅すぎる」と悠斗になにチンタラしていたのかと詰め寄ったくらいだった。


なにも変わらない平凡な日々。

つまらないことで笑って、勉強して、バイトに行って家に帰る。

至って普通な毎日を過ごす中で、私の心はどこか寂しくて、なんだかポッカリと穴が空いているようだった。

笑いながらも満たされていないこの寂しさの理由は分かっている。

そしてそれは、きっと真央や悠斗もそうだと思う。
私が倒れたあの日から、真央も悠斗もあの人の話題はもちろん、名前すら一言も出さなくなった。

不自然なほどに話しかけてきていた奏先輩も一切私に関わってくることは無く、あの日以来姿も見ていない。

あの日、奏先輩はバイト先にも事情を話してくれていた。

私が時間になっても来ないことを心配して店長が電話をして、出たのが奏先輩だったという。
謝罪の電話をした際に教えてくれた。

後日出勤したときは誰だと周りに事情聴取を食らってしまったけれど、私は苦笑いを浮かべることしかできなかった。


< 134 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop