ヤギが高いところにのぼるわけ
すると、どこからともなく大量のヤギがやってきた。
ヤギたちはたちまち私の家の周りを埋め尽くしそこかしこでめえめえ鳴いている。
私がヤギで窒息しそうになっていると、先ほどのヤギの紳士が私を玄関の上まで押し上げてくれた。

私があっけにとられているすきにヤギの紳士も玄関の上にあがり、コツコツと持っていたステッキで床をたたいた。
その瞬間、押し合い圧し合いしていたヤギたちは静かになり、じっとヤギの紳士を見つめる。
ヤギの紳士は見渡す限りのヤギの群衆に向かってこう言った。

「さて、誇り高きヤギの諸君。本日、このお方が我々に屋根を提供してくださった。」

ヤギの紳士が私を紹介し、群衆が歓声を上げる。
私は少し照れ臭い思いをしながら、群衆に小さく手を挙げた。
たっぷり時間をおいて、ヤギの紳士がコツコツとステッキを鳴らして群衆を静かにさせ、いった。

「我々の晩餐と行こうじゃないか。さあ、かかれ!」

ヤギの紳士が合図をするや否や、ヤギたちはいっせいに私の家に上ていった。

「ああ、あああ、そんなに乗ったら私の家がつぶれてしまう!」

私の声はかき消され、彼らはみな屋根に上ってしまった。
屋根の上にはみっしりとヤギの大群。私の家はとっかかりというとっかかりはヤギが足場にしてしまい、全面ヤギに覆われてしまった。
そして、真っ先に屋根の上に陣取ったヤギたちが月を舐め始めた。そしてしばらく舐めて、次のヤギに交代する。私の家はうごめくヤギでできているようだ。
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