離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
エピローグ


一ヶ月後――。

百々花は純白のドレスに身を包み、シュプリームウエディングの式場Brilliant Weddingの控室で千景を待っていた。

招待客への連絡から衣装選び。目が回るほど急ピッチで式の準備を進め、結婚指輪が届いたのは一昨日だ。

百々花に対して強固な態度を崩さなかった弘和はすっかり軟化し、自ら庭の草木の手入れをしている。千景に言わせると、妻の美佐子が亡くなる以前の姿に戻ったという。

香織は単身イギリスに留学したそうで、あちらで千景以上の男を捕まえてくると豪語しているそうだ。

百々花と千景がじつは夫婦だと知ったとき、アリアシェリーの社員たちは驚いた様子だったが、最初からなんとなく怪しいとほとんどの人が思っていたらしい。うまく隠し通していると思っていたのは、ふたりだけだったようだ。


「百々花さん、とっても素敵!」


真奈加が、椅子に座る百々花の周りをくるくると回っては褒め称える。

繊細なレーストップスにふんだんに使用したオシャレ感のあるAラインのウエディングドレスは、クラシカルな雰囲気を漂わせながらも、すっきりとしたシルエットが美しい。
< 297 / 301 >

この作品をシェア

pagetop