離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

振り返るや否や、利一が目尻を吊り上げる。
いきなりトップギアで叱られ、百々花は面食らった。
ついさっきまでデレデレしていたくせに、なんて早いギアチェンジだ。

反発心が芽生えたものの、利一は間違っていない。朝帰りが褒められたものじゃないのは、百々花もわかっている。


「利一さん、百々花さんだって、もう大人なんだから」


真奈加がすかさず仲裁に入った。


「そうはいくか。大人だって子どもだって同じだ。朝帰りはもってのほか。日付が変わる前に帰宅するのが常識じゃないか」
「そうはいっても百々花さんだって、いろいろとお付き合いがあるでしょう?」


こういうときに〝母親〟の存在はとても貴重だ。血のつながりがないとはいえ、同性同士のタッグは強い。


「真奈加さん、ありがとう。それと、お父さん、ごめんなさい」


素直に謝れるのは、この家を出る理由ができたからなのかもしれない。それと、ふたりのケンカの原因になりたくないというのも、もちろんある。
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