いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
しばらくして私が仕事の準備をしていると、航太が少し眠そうな顔をして出勤してきた。

もしかしてさっきまで東さんと一緒だったのかな。

私をほったらかしにして別の人と一緒にいるなんて、私と航太はもう別れたも同然だと思う。

航太は私と付き合っていながら、私の知らないところで東さんと何度も夜を共に過ごしていたのだと思うと、嫌悪感と怒りで全身が小刻みに震えた。

もし別れたとしても同じ部署の同僚として、航太とも東さんとも毎日顔を合わせるのだから、社内恋愛なんかするんじゃなかったといまさらながら後悔する。

ただひとつ救いなのは、同じ営業部にいても今は航太のサポートは私の担当ではないから、必要以上に話すことはないと言うことだ。

かつて私は航太のサポートを担当していた。

おそらく東さんと親密な関係になったのも、同じ理由だと思う。

私と航太が付き合うきっかけになったのは、営業職の航太のサポートを営業事務の私が担当していたことだった。

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