いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
なんかもう、考えるだけですべてが怖い……。

できれば今すぐこの場から消え去りたい。

「そうだけど……それよりまずは杏樹のオムツ替えてやって」

「はいはい、わかりました」

安藤部長はだっこしていた杏樹ちゃんを奥さんに差し出した。

奥さんは杏樹ちゃんを抱いてベビー布団に連れていき、オムツを替え始める。

なんだ、このナチュラルなやり取りは?

安藤部長が池崎家の一員であるように、あまりにも馴染みすぎている。

池崎課長もそれを不思議に思っていないようだ。

まさか夫公認の不倫関係……?

いやいや……愛妻家の池崎課長に限って、まさかそんなはずは……。

この人たちの不可解な関係を理解するには、私のキャパを完全にオーバーしている。

理解しようとするのはもうあきらめよう。

「小柴、食事の準備はもうできてる?」

池崎課長がテーブルの上を見ながら私に尋ねた。

子どもたちはすでに手洗いとうがいを済ませ、ダイニングセットの椅子に座ろうとしている。

「はい、あとはテーブルに運ぶだけです」

「じゃあ早速いただこうかな。みんな腹ペコなんだ」

「わかりました。すぐに用意しますね」




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