いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
未来さんとの関係は私の勘違いだったけれど、私には安藤部長から生涯愛されるほどの女性になれる自信がない。

だけどいつか安藤部長が私に飽きて別の人を選ぶ日が来るまでは、穏やかな気持ちで笑って一緒にいたいと思う。

私ではとても釣り合わない相手なのに、好きだから一緒にいたいと思うことは許されるだろうか。

安藤部長と一緒にいられる日が一日でも長く続けばいいなと思いながら信号を眺めていると、安藤部長は左手で私の右手をそっと握った。

「いろいろ話したいこともあるし……うち来る？」

いつもは自信に満ちた安藤部長が、少しためらいがちに尋ねた。

信号を見つめながら高鳴る胸を抑え、どうしようかと考える。

信号が青になり、私は人差し指で小さく前を指差して車を発進させるよう促した。

「明日は引っ越しの準備もあるし、話が長引いて帰れないと困るので……うちに来てもらってもいいですか？」

「真央といられるなら、俺はどこだっていいよ」

安藤部長は甘い言葉を吐きながら車を発進させ、私のアパートへ向かう道のりの途中にあるコンビニの駐車場に入り車を停めた。

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