いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
もしかしたら私が安藤部長に通常業務以外の仕事を頼まれたこととか、仕事が速いと誉められたことが面白くないのかな?

東さんは知らないかも知れないけれど、私は前の部長からも同じような仕事を何度も頼まれていたのに、上司が若いイケメンに代わったとたんにジェラシーっておかしいだろう?

私は頼まれた仕事を引き受けただけで、何も悪いことはしていない。

むしろ他の人の通常業務以外の仕事が増えなかったことを感謝して欲しいくらいだ。

……まぁいいや。

別に私はこの仕事がきらいじゃないし、同僚から誉められたくて仕事をしているわけでもない。

私が毎日真面目に仕事をしていることを上司が公正な目で評価してくれていれば、それだけで満足だ。

あからさまに備品の補充をしてポイントを稼ぐようなことをしなくても、私は上司から大事な仕事を任されるほどの信頼を得ているのだと思うと、ほんの少しの優越感で笑いが漏れた。


守衛室に仮社員証を返却してから会社を出た。

本物の社員証は人質みたいな物なのか、まだ安藤部長が持っている。

とりあえず社員証を返してもらわなければならないし、不本意ではあるけれど安藤部長の指示通り駅前のコンビニに立ち寄った。

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