いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
「東さんってすっごいお金持ちの家のお嬢様なんだって。航太は東さんと仲がいいんだから、もちろんそれくらい知ってるでしょ?」
「あ、いや……」
「東さん優しいし、時間はかかってもちゃんと返すって約束すれば、今必要な生活費くらいは貸してもらえるんじゃない?」
ハッキリと『浮気をしている』とまでは言わなかったけれど、航太がじゅうぶんダメージを受けているのはわかる。
ゆっくりとエレベーターが止まると、私はドアが開く前に航太の手を振り払った。
こんな男と妙な噂をたてられたら、たまったもんじゃない。
「何に必要なのかは知らないけど私もお金はないし、これからは結婚資金を貯めなきゃいけないでしょ?だから航太も生活費は自分でなんとかしてね」
私は捨て台詞を残してエレベーターを降り、足早にオフィスへ向かう。
貯めなきゃいけない結婚資金は、航太との結婚のためだと勘違いしただろうか?
なんにせよ、私にたかってもお金は出て来ないとわかれば、あきらめて他のあてを探すことだろう。
予期せぬタイミングで優花のアドバイスが少なからず役に立ったわけだけど、背後から襲ってきた卑怯な敵を一人で倒せたような気がして、妙な優越感と達成感でゆるむ口元を必死でひきしめながらオフィスに戻った。
「あ、いや……」
「東さん優しいし、時間はかかってもちゃんと返すって約束すれば、今必要な生活費くらいは貸してもらえるんじゃない?」
ハッキリと『浮気をしている』とまでは言わなかったけれど、航太がじゅうぶんダメージを受けているのはわかる。
ゆっくりとエレベーターが止まると、私はドアが開く前に航太の手を振り払った。
こんな男と妙な噂をたてられたら、たまったもんじゃない。
「何に必要なのかは知らないけど私もお金はないし、これからは結婚資金を貯めなきゃいけないでしょ?だから航太も生活費は自分でなんとかしてね」
私は捨て台詞を残してエレベーターを降り、足早にオフィスへ向かう。
貯めなきゃいけない結婚資金は、航太との結婚のためだと勘違いしただろうか?
なんにせよ、私にたかってもお金は出て来ないとわかれば、あきらめて他のあてを探すことだろう。
予期せぬタイミングで優花のアドバイスが少なからず役に立ったわけだけど、背後から襲ってきた卑怯な敵を一人で倒せたような気がして、妙な優越感と達成感でゆるむ口元を必死でひきしめながらオフィスに戻った。