いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
「何を着ても可愛いとか言ってましたもんね。他の女の人は霞むくらい、その人のことが大好きなんですよ」

「安藤部長はその人を内面で選んだみたいだけど、たぶん誰が見ても美人で可愛くて、なんでもできるしっかりした人なんだろうね」

お願い、もうやめて……!

その相手が私だと知ったら、『安藤部長って趣味が悪い残念な人なんだ』と、みんながっかりするから!

これ以上『みんなの憧れのエリートイケメン安藤部長』の相手が美化されてしまう前に、この話はこの辺りで打ち切ってしまう方が良さそうだ。

いや、むしろ私がこの場から消えれば聞かなくて済むのか?

それによく考えたら、みんなと一緒に店を出ると私が創さんと暮らしていることがバレるかも知れないから、ひと足先に店を出ることにしよう。

「コンテストの献立も決まったことだし……私、ちょっと買い物して帰りたいから、そろそろいいかな……」

「あ、そうなんだ。いいよ、私たちはもう少しゆっくりしてから帰るつもりだから。いろいろ教えてくれてありがとう。当日もよろしくね」


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