いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
「未来……玄関先でわめき散らすな、近所迷惑だろ」

「だってこのバカが……」

「わかったから、とりあえずみんな中に入れ」

どんな状況であっても冷静なのは、いつだって池崎課長ただ一人だ。

池崎課長がいなかったら、姉弟喧嘩はさらにヒートアップして、血を見ることになっていたかも知れない。

部屋の中に入ると、いつもはにぎやかな子どもたちの姿はなかった。

「あのー……お子さんたちは?」

「さっきうちの両親に預けた。こいつらの小競り合いを子どもたちには見せたくないからな」

「そうなんですね……」

子どもたちに会えなかったのは残念だけど、きっとこれから子どもたちには聞かせられないような話をするのだろう。

そう思うと、少し不安になってきた。

池崎課長は私たちにダイニングセットに座るように促し、コーヒーを淹れてくれた。

「とりあえずこれ飲んで少し落ち着け。話はそれからだ」

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