いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
息子の婚約者に良家の令嬢を選ぶくらいだから、結婚したら家庭に入らせるつもりだと思っていたのだけど、そうではないらしい。

「東さんが料理教室に通っても、料理では真央ちゃんには敵わないだろうけど……。真央ちゃんの得意なこととか、他にもある?」

「得意なことは特にありませんね。強いて言えば予算内でやりくりするとか、生活費を節約することくらいです」

我ながらなんて庶民的……いや、貧乏臭い特技なんだ。

創さんのご実家はお金に困っているわけではないし、むしろ有り余っているだろうから、私の節約癖なんか、『優秀な嫁アピール』にはなんの役にも立たないだろう。

そう思っていたのに、未来さんは満面の笑みで大きくうなずいた。

「それは大事なことよね。消費者のために少しでも無駄を省いて、より手頃な価格で商品を販売するのが企業の努めでしょ?」

「なるほど……企業努力ですね。鉛筆一本、コピー用紙の一枚も無駄にしないように気を付けます」

「料理と節約以外にも何か得意なことはある?」

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