いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
「私は今後のことを考えたら、ご両親とはできるだけ穏便に、まるく収めたいです。そのためにはやっぱり、安藤家の嫁として受け入れてもらえるように私自身が頑張らなきゃいけないんですけど……」

「そうだよな。俺が後先考えずに行動したせいで、真央に余計な苦労かけてごめんな」

創さんは手に持っていた箸を起き、申し訳なさそうにそう言って頭を下げた。

たしかにむちゃくちゃななりゆきではあったけど、あのバーでの出会いと、行き当たりばったりな入籍がなければ、私たちは今こうして一緒にはいないと思う。

きっと人生は、なるようになっているのだ。

「頭を上げてください。私は創さんと一緒にいられて幸せだし、これからもずっと一緒にいたいと思ってますよ」

私が素直な気持ちを伝えると、創さんは目尻を下げ、口元をゆるめて微笑んだ。

その顔があまりにも幸せそうだったので、愛しくて胸の奥が甘い音を立ててうずいた。

< 619 / 991 >

この作品をシェア

pagetop