いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
カレーのベースを煮込んでいるうちに、果歩はポテトサラダ用のハムやゆで卵を刻み、加熱して柔らかくなった人参を型抜きして、キュウリの水分を搾る。

カレーのベースが出来上がると、果歩はそれを三つに分け、それぞれの鍋に甘口、中辛、辛口のカレールーを入れて仕上げる。

その間に彩名がポテトサラダの具材をマヨネーズで和えて、レタスとキャベツの敷かれた皿の上に盛り付け、私が粗熱の取れた蒸し鶏を割く。

自社商品の宣伝を兼ねているので、チャツネとガラムマサラは皿などには移さず、チューブや瓶に入ったままテーブルに置く。

もちろんカレールーの箱も、調理中は目立つ場所に、パッケージがよく見えるように置いておく。

全国ネットで自社商品をバッチリ売り込んでおけば、会社の上層部や広報部の社員は大喜びすることだろう。

創さんは引っ越して来たばかりだったし、元々一人暮らしだったので調理器具をあまりたくさん持っていなかったけれど、私が持ってきたものがあったので、なんとかカレーを三種類作ることができた。

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