いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
『そうなんですね。小柴さんが無事ならそれでいいんですけど……。この間電話したときに、報告したいことがあるって言ったの覚えてます？』

「ああ、うん。聞かせてもらっていい？」

優花の話によると、部署のみんなは私が突然退職してしまったことに疑問を抱いていたようだけど、その件に関しては鈴木課長が抑えているのか、みんな何事もなかったかのように業務を遂行しているそうだ。

そして昨日、航太が数日ぶりに出社したらしい。

休んでいた理由を聞かれた航太は、旅先で事故に遭って入院していたと言ったらしく、以前より少し痩せていたけれど元気そうだったと優花は言っていた。

前に創さんから聞いた話では、航太が健康保険を使った形跡はなく、入院していると言うのは嘘だろうと言うことだった。

本当はどこで何をしていたのか、今の私にはそれを知る手立てもないけれど、とりあえず航太が無事に帰ってきたことには安心した。

そして彩名が優花のお父さんに依頼していた別件とは、大村さんの身辺調査だったことがわかった。

< 802 / 991 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop