キミに伝えたい愛がある。
短大に入ってから私は苦労の連続だった。


祖母に教わったことが身に付いていないうちから実習が始まり、包丁を使いこなせず、何度も指を切った。


元からマイペースで要領よく動ける人間でなかった私は実習中にプチパニックを起こし、班のメンバーに迷惑をかけまくった。


勉強もそんなに良く出来なかったけど、何より最悪だったのは、理系科目。


栄養士がこんなにも理系よりだとは考えてもいなかった。


変わらずポンコツだった私は就職もまともに探せず、教授に紹介されたところを受けた結果、すんなり合格。


そしてこちらに就職し、働くことになった。


おばさんより同世代の圧が強く、私は毎日泣きそうになるのを必死にこらえながら過ごしていた。


耐えていればいつか春が来る。


そう願って自分から幸せを探したり、掴みに行ったりはしなかった。



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