白い便箋を太陽に翳してみれば・・
気づけば、夜になっていた。

あたしは一人で、ある場所に来ていた。
流星が今まで働いていた工事現場。
知らないうちに足が勝手に動いていて、ここへ来ていた。

「冴島さん?」
「えっ?」

そこには、あの日流星の携帯からかけてきてくれた古川さんだった。

「どうしてここに・・?」
「あ・・特に理由はなくて・・」
「北澤は他の人の倍、働く奴でいつも一生懸命汗水流して働いていたよ・・」

古川さんは突然、流星のことを語り出した。
あたしは、そのまま古川さんの声に耳を傾けた。

「工事現場なんかで働く人は、私みたいな年寄りばかりで北澤は唯一若くてね・・。私達、年寄りにも嫌がらないで皆に気さくに話してくれたよ。今じゃそんな若者も少ないから北澤は立派だったよ。そう言えば、いつも休憩時間の時は、年寄り相手にずっと冴島さんのことを話していたよ」

そう言った古川さんは、どこか懐かしそうに笑った。
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