揺蕩いの桜の下で君想ふ
次にやってきたのは、近くにあるショッピングモール。

そこで私たちは、沢山買い物をした。結桜は、私を見て微笑んでいる。

「あ!小春、そろそろ行こうか」

腕時計を見た結桜は、私に手を差し出した。結桜の顔はすごく真っ赤だ。私は、その顔にクスクスと笑うと手を握る。

たまには、こういったことをするのも良いだろう。

「結桜」

私は、結桜の名前を呼ぶ。結桜は、私に顔を向けた。

「今、私は幸せだよ」

私が微笑むと、結桜はさっきから赤い顔を更に赤くした。

「……俺も幸せだよ」

私から顔を逸らした結桜は、そう呟く。外に出ると蝉が切なそうに鳴いているような気がした。私は、この風景を見て呟く。

「……夕暮れの心震わす蝉時雨」
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