愛すべき彼女達 ~十人十色~
それから直ぐに、我が家は一変した。

大好きなお父さんは、病院に入院し

優しかったお母さんは、パートと病院の往復で笑わなくなった。

一番上のお姉ちゃんも、家庭を助けるとアルバイトを始め

直ぐ上のお姉ちゃんは…………私の世話と受験にイライラしてた。

とにかく………

家がガランとして、いつも寒いと感じた。

淋しい私は、お父さんの病院に寄って

毎日学校であった事を話していたけれど……

半年もすると、痩せて元気の無くなったお父さんが別人に思え

怖くて、顔を見せる事を止めてしまった。

たまにお母さんに『お父さんに顔を見せてあげて』と泣かれ

渋々病院に行くものの

10分もしない内に『お友達と約束してるから帰るね。』と言って

病室を後にしていた。

お母さんの手前、早く帰る事もマズイと思い

病院の中庭で、時間を潰してから帰る事が

私の習慣になった。
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