愛すべき彼女達 ~十人十色~

千尋の場合…………その1

「お姉ちゃん、早く早く!!」

今日は、待ちに待ったダブルデート。

お姉ちゃんに、彼氏がいたことはびっくりだったけど。

私に先生…………じゃなくて。

和君がいてくれたように

お姉ちゃんを支えてくれる人がいたことは嬉しい!

なんて!

良い子ちゃんの答えももちろんだけど………

本音を言えば。

今日ダブルデート出来ることが、嬉しいんだよね!!

だって~

実は、和君って…………学校の先生なの。

私の学校の先生で

いけない………禁断の恋ってこと!!

おまけに、高校2年の時に…………担任だったんだよね~

小説や漫画では、定番だけど。

自分がそんな恋をするなんて、想像したこともなかったのに。

不思議。

だって…………私の中に年上の人との恋なんてなかったから。

浮気してるお父さんを見てたから

大人の男って………

狡くて嘘つきで………信用なんてなかったもん。

だから、あり得なかった………。

なのに不思議だよね。

先生のことは………信じて心を許すことができた。

自然に恋をしていたの。

禁断の恋をしてでも…………側にいたかった。




その学校も、晴れて卒業!!

心からの友達と理解ある先生に恵まれて

十分楽しんだ高校生活だったけど。

やっぱり禁断の恋は、それなりに大変だったからね。

これから堂々と『彼女です』って歩けるのは………嬉しい!

その第一歩が、お姉ちゃん達とダブルデート。

いずれは、学校のある街やウチの近所も

手を繋いで歩けたら最高だけど………

取りあえずは

大好きなお姉ちゃんに認めてもらえて

一緒にデート出来ることが嬉しいんだ。
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