愛すべき彼女達 ~十人十色~
せっかく四人の卒業旅行だから

新幹線のイスを回して、四人が向かい合って楽しむと思ってたのに………

まさかの別々。

「えっ?!
はぁちゃんは???」

驚く私に

「後ろの車両。」って。

私達は………

体が大きな先生が「窮屈は嫌だ!」と言ったから

グリーン車にしたの。

ただ、樹先生も同じく大きな人で。

おまけにお金持ちの樹先生だから、もちろんグリーン車にした。

同じグリーン車で、しかも卒業旅行だよ??

一緒に行くよね??普通は…………。

疑問を口にすると、急に不機嫌な顔になる先生。

「……………………??」

棚に荷物を置いてもらって、座ってからもう一度質問してみると。

「だから!!
尋は、彼氏の俺より………
はぁちゃんの方が良いの??」って。

あれっ??

もしかして…………ヤキモチ??

ニッと口の端を上げると

おでこをコンパチされちゃった。

「……………ホテル………覚えとけよ。
寝かせないからな。」って…………

ええっ!!

ホテルまで別々なの??

不満そうな顔をすると

「樹…………プロポーズするって。
後5年待つつもりだったんだけど…………
はぁちゃんに見合いの話しが出たから………
『それなら俺がもらう』って。
今夜はあっちも寝れないはずだから」……………。

ウソ!!

はぁちゃんがお見合い??

聞いてないよ!

………………そっかぁ。

はぁちゃん…………樹先生と結ばれるんだぁ。

良かった。

高校生活の間…………

モテる先生達に苦しんだり

バレないように、いっぱい我慢して過ごしたの。

…………………………やっと…………

はぁちゃんの夢が…………………叶うんだねぇ………………。

大好きな樹先生と同じ時間を歩いて行く。

嬉しいはずなのに…………

ポロポロ、ポロポロ涙が溢れ落ちる。

良かったけど…………ちょっと淋しい。

それでもやっぱり、嬉しい涙が溢れて止まらない。
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