星と星を結んで君を描く
夏、妹に語る



夏がやって来た。俺は、縁側に座ってアイスを食べる。あっつ~……。

俺の4つ下の妹、星菜(せいな)も俺の隣でアイスを食べていた。

俺らは、夏休みに入った今日、おばあちゃん家に泊まりに来ていた。

「お兄ちゃん……暑い……」

「いや、俺に言われてもね……ここに居ないで、おばあちゃんとこに行ったら?」

俺は、星奈に向かって言う。星奈は「暑いから動きたくない……」と動こうとしない。

「……そっか」

「あ、お兄ちゃん」

「ん?」

「今日、夜空を観察しようって宿題が出てて、それをやろうって思って――」

「まじ!?」

俺は、星奈に問いかけた。星奈は、少し困った顔をしてうなずく。

「俺が教えてやるよ!」

俺が笑うと、星奈は「よろしく」と微笑んだ。



夜。俺と星奈は、おばあちゃん家の庭から空を見上げていた。

「夏の大三角は、あれだ」

星奈の持つプリントに書かれている星を探し、俺は指を指す。

「夏の大三角は、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイル、こと座のベガを結んで作ることが出来るんだよ」

「へぇ~……」

「……ねぇ、お兄ちゃん。さそり座って夏に見えるんだったよね?」

「お!そうそう!さそり座の中で1番明るい星は、アンタレスだよ!」

俺は、夜空を見上げながら思わず微笑んだ。
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