溺愛ホリック
《豹》



柚子がバイトを始めた。



1週間くらい働くらしい。



付き合いたてなのに、柚子のバカヤロウ。



寂しいのは俺だけかよ。



『お友達できたの!』

「へー。よかったじゃん」

『明日からお昼は一緒に食べて、教室移動も一緒にするの!』



学校生活、だいたいを1人で過ごしてきた柚子にとっては、この上ない幸せなんだろうけど。



電話の向こうの柚子が、俺以外のやつの話を楽しそうにしてて、なんかモヤモヤした。



昼メシくらい俺と食べればいいだろって言ってやりたい。



まぁ、せっかくできた初めての友達だからな。



嬉しそうな柚子の顔が浮かんできて、その言葉は喉の奥に引っ込めた。



『あ、そういえば、虎くんもいたよ』

「はぁ!?」

『えっ、知らなかったの?』

「バイトするとは言ってた」

『私と一緒のところだよ〜』



まじかよ。



アイツ、カフェって柄じゃねぇだろ·····。

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