悔しいけど好き
トイレ休憩とちょっとお土産と飲み物を買って車へと戻る。
終始私に気を使ってくれる周くんにピリピリしてる鷹臣はずっと不機嫌で車に戻ると窓に寄りかかり寝てしまった。
頬をツンツンしても起きない鷹臣にクスリと笑う。
拗ねちゃって、ほんと、お子さまなんだから。

「彼寝たの?」

「あ、うん、寝ちゃったみたい」

「随分機嫌悪そうだったね?送るのは余計なお世話だったかな?」

ルームミラー越しに目が合うとクスリと笑う周くん。
やっぱり必死に隠してたけど鷹臣の機嫌の悪さに周くんは気付いていたよう。
苦笑いで首を振る。

「そんなことないよ、すごい助かっちゃった」

「凪は、ほんとにその彼でいいの?心配だなぁ?」

ふうっと大きなため息を吐く周くんが可笑しくてクスクス笑う。

「ほんとに周くんは海里兄さんより心配性なお兄ちゃんだね」

「そりゃあ……大事な凪を不幸にするなんて許せないからね。彼はやけに不機嫌だし独占欲強すぎじゃない?」

「大丈夫だよ、これで結構よく気がつくし優しいの。腹立つことも多いけど十分幸せ。鷹臣が不機嫌なのは私のせいなの」

「え?どういうこと?」

「鷹臣に周くんは元カレだって教えたの。私の初めても周くんだって教えちゃった」

へへっと照れ隠しに笑うとえっと小さく驚く周くんは顔をひきつらせた。

「ああ…だからやけに険悪な目で見てくると思った。俺、なんかしたかなって心配してたんだけど、結局原因は俺なんだな…」

「周くんは何も悪くないよ。私が鷹臣にヤキモチ妬かせたかったんだ」

私達が付き合ったのは高校生の頃のたった1年間。
私が中3の時に告白して同じ高校に受かったら付き合ってもいいよという周くんの言葉を信じて受験を頑張り見事合格した。
海里兄さんは最初付き合うことに驚いてたけどキスまでなら許す!と認めてくれた。
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