悔しいけど好き
「で、凪を送ってトンボ帰りか?よくやるよ。お前の見立てでは二人は上手くいきそうか?」

「どうだろうね?ただ、釘は刺しておいたよ。凪を不幸にしたら許さないって」

「ふーん。それだけか?」

意味深な顔。
幼馴染みだけあって海里は俺をよく知っている、話さなくても見抜かれてるようだ。

「ああ…後はちょっと挑発しといたかな?俺が元カレだって知ってるみたいだから、色々と、昔の事を教えてあげたよ」

「ははっ、そりゃ鷹臣悔しがってただろ?笑える!」

あっけらかんと言えば、腹を抱えて笑う海里に釣られて俺も笑う。
海里公認の付き合いだったから大っぴらにそんなことも言える。
過去の事だと今は笑い話にしかならない俺たちの恋人期間。
それでも密度の濃い忘れられない思い出だった。
その大切な思い出を彼に暴露したのはどういう反応を見せるか試したんだ。

「嫉妬心むき出しのあの顔はなかなか見ものだったよ」

ミラー越しに睨んで来るあの顔は今にも射殺されてしまいそうなほど鋭かった。
優越感に浸りながらぞくりと背筋が凍ったものだ。
挑発に乗った彼が凪に酷いことしなければいいけど…。
ただ、そうなったら取り返しに行くだけだ。

「嫉妬心むき出しはお前もだろ?」

「ん?何が?」

「鷹臣を見る目が怖かったぞ?」

「そう…かなぁ?」

惚ければ惚けるほど俺の心情を読み取っていく海里の鋭さはほんと侮れない。
俺の本心をどこまで気付いてるだろう?怖いなぁ…。

確かに彼を見る凪が幸せそうで妬けたんだ。
車の中でいちゃつく二人を見ていられないほどに…。
だから悔しくて言わなくてもいいことも言ってしまった。
彼に本音をぶつけたことは海里にも凪にも内緒にしたい。

「凪は大事な妹だろ?海里だって凪が泣かされたら黙ってないだろ?」

「……ま、そうだな」

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