悔しいけど好き
「ま、鷹臣が直接凪を泣かしたってわけでもないなら今回は許してやる。ただ、同じ過ちはするなよ?」

「もちろんです」

海里兄さんの脅しにも屈せず、鷹臣は真摯に頷く。
それでホッと緊張感がほぐれた。
気を取り直そうと皆お茶に口を付けた時、鷹臣は背筋を伸ばした。

「こんな俺では頼りないと思いますが、全力で凪さんを守ります。必ず幸せにしますから、お父さん」

「ぶっ!…うん?」

「お母さん」

「はっ!はい!」

「お兄さん」

「お、おう…」

「湊斗くん」

「はい…」

「おばあちゃん」

「あいよ」

「…凪さんと結婚させて下さい!」

不穏な空気が和んだと思ったら今度はガバッと頭を下げた鷹臣にギョッとして不意打ちの結婚発言に皆あんぐりと口を開ける。

「鷹臣…タイミング悪すぎ…」

何だろう…いつもなら空気を読んで巧みな話術で営業をこなしてるはずなのにこういうことに関しては考えが及ばないのか鷹臣はいつもいつも不意を突いて周りを驚かす。

「くっ…面白いな鷹臣は、普通暗い話の後に結婚話はしないと思うぞ?」

「そ、そうですか?」

くつくつ笑う海里兄さんに釣られて唖然としてた家族も笑い出す。

「ま…まあ、前から宣言されてたしな。心の準備は十分出来た。鷹臣君凪の事くれぐれも頼むよ」

「はい!」

「良かったねえ凪ちゃん」

「う、うん」

お父さんは複雑な顔をしてたけど、にこにこのおばあちゃんがより一層嬉しそうに笑って私も嬉恥ずかし照れてしまった。

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