悔しいけど好き
「ごめんって…ほんと悪かった。お前鈍感だからバレないと思った…」

「ばっ…馬鹿にしな…っ!」

一瞬腕が緩んだ隙にもがき顔を出した先に奴の顔が間近にあって言葉が詰まった。
私が暴れたせいか前髪が乱れて目にかかってるのが色っぽくて余計に心臓が爆発する
奴は意外と真剣な顔で私を見つめだんだんと近付いてくる

ま、まさかキスされる!?
この状況で!?
何でこうなる!?

動けずパニクって万事休す!と思わずぎゅっと目を瞑った



……カプ

「いたっ…!」

暫くの沈黙の後、鼻の痛みに目を開けると奴にカプリと鼻をかじられていた!

「…何、期待してるわけ?」

不機嫌そうな声が降ってきて、パチリと目を開け奴を睨み上げる。

「いったい!何すんのよ!」

「お前が悪い」

「なっ…何でよ!怒ってんのはこっちなんだけど!?」

思わず声が裏返って、あっ!と思ったら拘束は解かれ私はごろんとソファーに転がされ、奴は立ち上がりこちらを見下ろしてくる。
暴れたせいなのか焦りすぎたのか額から汗が一筋流れた。


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