大好きな旦那様と離婚に向けて頑張ってます?!【完】
「そうそう。私達もお節介焼いたんだし、くっついてもらわなきゃ困るわよ」


 肩を竦めた莉佳子はボロネーゼスパゲッティを口に運ぶ。莉佳子の隣に座っていた涼もゆるっと退廃的な笑みを浮かべた。


「俺当て馬役頑張ってみたんだけど、どうだったー?」

「あんたはただのデリカシーないだけの奴だったけど」


 半眼になった莉佳子に肘で小突かれながら、涼はヘラヘラと笑う。よく見ると若干疲れきっているように見える。


「悠真と美咲がお互いを意識していたのは何となくわかっていたが、涼と莉佳子はお節介をしていたのか?」


 まだ少年のようにも見える童顔の青年が、呆れたように涼と莉佳子を見る。硬めの口調で問うた彼――京極由弦に莉佳子は「そうそう」と頷いた。


「悠真もせっかくアメリカから帰ってきたんだし、今が一番いいタイミングかなって」

「しばらく日本にいるだろうしねえ」


 莉佳子の言葉を引き継いで、涼も首を縦に振った。由弦は口元に弧を描きながら悠真を見る。


「……だそうだぞ?随分とヘタレていたんじゃないのか?悠真」


 揶揄うような口ぶりに、悠真は「まあそうかも」と苦笑いをした。
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