大好きな旦那様と離婚に向けて頑張ってます?!【完】
「ねえねえ!昨日に引き続き今日も会えるなんて、運いいんじゃない?」


 当人は突然社員食堂に現れた悠真にテンションが上がって、私の耳元で興奮したようにこっそり話し掛けてきた。


「そう?」

「だって、部署違うと全然会えないじゃない」

「まあ、そうかも……」


 以前に営業部の人と社内恋愛していた頃の麗奈は、意外と社内で会えないと呟いていたのを思い出す。今日は悠真と二日連続して遭遇したけれど、この一ヶ月社内で顔を見る機会はそういえばなかった。

 毎日家で見ているから、会えない気分になった事がなかったなんて言えない。

 ただでさえ、四年もアメリカに行っていた彼が、毎日同じ家にいるという事だけでもキャパオーバーな出来事なのよ。

 キラキラとした瞳で悠真を見つめる麗奈を横目で見ながら、私は少し苦い気分になりながら聞いた。


「麗奈は好きなの?伊ヶ崎専務の事」

「え〜、好きっていうか、チャンスがあったら狙いたいな〜って感じ。まあ、そんなチャンスないんだろうけど」
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