エリート弁護士は独占愛を刻み込む
13、彼女へのクリスマスプレゼントー恭吾side
「思ったより時間がかかったな」
チラリと時計を見れば、午後七時半すぎ。
ブランド店のフロアをいくつか回り、支払いを済ませて、葵の待つ四階のカフェに行く。
だが、そこに彼女の姿はなかった。
「トイレにでも行ったかな?」
葵を探しにカフェを出ようとしたら、出入り口のドア付近で女性の声が聞こえてきた。
「……てっきり群馬の実家にでも逃げ帰ったかと思ったわ、泥棒さん」
相手を嘲笑するようなその口調。
軽い冗談ではなく、悪意が込められている。
カフェを出ると近くにあるエレベーターの前で葵とキャメル色のコートを着た見知らぬ女性が対峙しているのが見えた。
葵が青ざめながらキャメル色のコートの女性に向かって言う。
「私は……私はあなたの財布なんか盗んでない」
そんな葵の発言を聞いて彼女の前にいる女性はせせら笑った。
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