エリート弁護士は独占愛を刻み込む
うちの事務所の仕事納めの日で、祖母の誕生日でもある。
「ああ。チョコよりも甘くて美味しいものを見つけたからね」
チラリと葵に目をやってそんな意味深発言をすれば、正一さんは俺の言わんとすることを理解したようで少し頬を赤らめた。
「あー、なるほど」
ハハッと苦笑いする正一さん。
だが、彼の前の席にもっと顔を真っ赤にしている人物がいる。
「恭吾さん!」
葵が赤面しながら俺を注意するが気にしない。
「何か悪いこと言った?葵だっていつもチョコ食べすぎって言ってたよね?」
不敵の笑みを浮かべれば、彼女はギュッと唇を噛み、俺に恨みがましい視線を向けてくる。
「こら、そんな唇噛んでると血が出ちゃうよ。ただでさえ葵は唇乾燥してガサガサになりやすいんだから。葵だけの唇じゃあ……!?」
葵が酷く焦った顔で俺の口を手で塞ぎ、声を潜めて警告した。
「そんなこと言う人にはキス禁止にします」
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