歌舞伎町ボーイズ
 随所にいろんなトリックが仕掛けられていて……。

 
 コウジが、


「ケン、ユキとはまだ結婚しなくていいよ。あっちもその気ないんだし」


 と言ったことがあった。


「……そんなもんかなあ?」


 俺もそう呟かざるを得ない。


 ユキがナポリタンを食べながら、時折持っていたティシュで口元を拭い、


「ケン、食べ終わったら行こう」


 と言い、俺をその気にさせる。


 彼女のアイスコーヒーのグラスの底には、タピオカが沈んでいた。


 それをストローで吸い取り、噛みしめる。


 俺も食事が終わり、コーヒーを飲み干して、ゆっくりしていた。


 昼夜逆転の生活は疲れる。
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