Dangerous boy
「君を、口説こうと思ってね。」

小さい声だったのに、一番届いた言葉。

「ぶ、部長……」

胸がトクントクンと、鼓動を打つ。

「この前、彼氏がいないって聞いてから、このチャンスを待っていた。どうかな。俺と付き合わないか?」

まだ……胸の鼓動が早い。


「倉本……」

部長の手が、私の手の平に重なる。

温かい。

こんな温かい手を掴める事ができたら、私は幸せになれるんだろうか。


「あっ、もうお酒が無くなっていたね。すみません、同じ物を……」

部長が私から手を放して、バーテンダーを見た。

「はい。既にご用意していますよ。」

そして若いバーテンダーさんが、私達の前に出してくれたのは、さっきのスクリュードライバーみたいに、黄色いカクテルだった。

「えっ?これは、スクリュードライバー?」

「いいえ。ブランデー、コアントロー、ホワイトラムにレモンを少々……」

部長は、一口飲むとほぉーと声をあげた。
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