Dangerous　boy
「あれ？うちの店の近くじゃなかったっけ？」

「うん。でも、こっちの道の方が、近道なの。」

私の後について、歩く尚太君と、自然に手を繋ぐ。

「なんか……いいな。こう言うの。」

「そうだね。」

幸せを噛み締めながら、私と尚太君は、会社の近くまで来た。


「尚太君。私の会社、このビルに入っているの。」

「うわあ……」

尚太君はビルを見上げて、感嘆の声をあげていた。

「大きいね。」

「ビルだけよ。実際は、小さなオフィスだもの。」

尚太君は笑うと、そっと私から手を放した。

「じゃあ、また。仕事頑張って。」

「うん。尚太君もね。」

そう言って、手を振りながら、私達は離れた。


ビルの中に入って、オフィスがあるフロアまでのエレベーターに向かう。

出勤の時間が重なって、たくさんの人が、エレベーターの前に並んでいた。

チンッと言う音が鳴って、一気にエレベーターの中に、引きずり込まれそうになる。
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