Dangerous boy
私は苦しくて、胸を押さえた。

同情は、しないと決めていたのに、その時の尚太君の気持ちを考えると、胸が苦しくて仕方がなかった。


「警察に連絡をしたら、施設に預けられると聞いたわ。それだったら、私が引き取るって言って、家に連れて来たの。その時には、もう和彦と付き合っていたんだけど、反対を押し切って、尚太を育てるって言ってね。」

その時を思い出して、紗和子さんは笑っていた。


きっと、苦しい事も悲しい事もあったと思う。

でも、大きくなった尚太君が、それを全て笑い話にさせてくれたんじゃないかって、勝手に考えた。

そうじゃなかったら、尚太君はこんなに優しい子に育ってないし、紗和子さんだって、笑っていない。


「だからね、心ちゃん。あの子、どこかで女の人に、母親を求めているのかもしれない。だから、自分を好きだって言ってくれる人を、無下にできないのよ。」

「はい。私も、今……そう思いました。」
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