とある女の育児事情———育ハラ受けてます。



そんな幸せ一杯にみえるであろう私達に


「今井さん…じゃなかった。えーと、八木‥さん、で良かったかしら?」
「はい、何でしょう店長」
「子供が出来たらもちろん退職されるのよね?」


きたー。


密かにみんなからお局扱いされてるウチの店長(38)は、未だに独身で彼氏も無し。

だからって彼氏持ちや既婚者に冷たく当たるのは止めて頂きたい。此方は店長のプライベートに干渉してる訳でも、仕事にプライベートを持ち込んでいる訳でも無いのだから。


でも、若い子に平気で張り合ったり、余計な事を言ってわざと後輩を貶めてくる、此の意地の悪い店長には何を言っても無駄なので



「うーん、子供のことに関してはまだ結婚したばかりなので考えていませんでした。もし妊娠したらその時に今後の事は考えます」

と、言っておいた。


嘘は付いてない。

雅也も私も新婚生活をしばらく楽しみたいから一年は避妊しようって話をしたばかりだし。


すると店長はややヒステリック気味に



「あなた、何を言ってるの?将来計画くらいしっかりなさい、もう良い歳でしょう!あぁ、情けない。そんなんじゃ若い子に示しがつかないわ」

なんて言い出した。


ちょっと待ってよ。

私が良い歳なら貴方は何なの?


てか、20代なんてまだ十分若いじゃない。



この時の私は本気でそう思っていたのだが……



思えば、コレが転落の一途を辿る序章だったのかもしれない。

< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop