甘味好き御曹司とお見合い結婚!?

「ほんと、高峰くんにはもったいない感じのいい子だわ。ねぇ、本当にこの男でいいの?もう先走って半年後に結婚式場仮押さえされてるけれど」

そんな貴子さんの言葉にびっくりして目も口もポカンと開けていると、高峰さんが慌てだした。

「お見合いだし、最近夏乃ちゃんの雰囲気も柔らかくなったし、俺は夏乃ちゃんと結婚したいと思ってるからで……」

そう言うと、高峰さんは私に指輪を差し出してその場に跪き言った。

「鈴木夏乃さん、俺と結婚を前提にお付き合いしてください。今年中に結婚してくれると俺としては幸せなんだけど、どうだろうか?」

そんな、高峰さんの言葉に私はキュッと胸の前で手を組むと聞いた。

「本当に私でいいの?」

そんな自信なさげな私の声に、高峰さんは柔らかく私を見つめて言う。

「夏乃ちゃんがいいんだ。夏乃ちゃんじゃないとダメなんだよ。結婚しよう」

「はい、私も潤也さんが好きです。潤也さんのお嫁さんにしてください」

私の返事に潤也さんは、とても嬉しそうにすると、私を抱きしめてそっと耳元に囁いた。

「愛してる、夏乃。一緒に幸せになってください」

その言葉に胸を打たれる。
幸せにするじゃなくって、自分が幸せだし、一緒に幸せになって欲しいという言葉が独りよがりではない、潤也さんの姿勢を示しているようで。
この人となら、一緒に幸せになれそうだなと思えた。
大切な人を失って、一時はもう大切な人に置いて行かれるのが嫌で大切な人は作りたくないと思っていた。
それが恋愛を避けていた理由だったりする。

でも、恋ってそんな考えや気持ちなんてちっぽけだよってくらいに簡単に恋の衝撃に落とされた。
お祖母ちゃんの私への心配から始まったお見合いだったけれど、私に合う潤也さんを
しっかり紹介してくるなんて、すごいとしか思えない。

出会いからをお考えるとスピード婚になるのだろうけれど、お見合いだから普通なのかも。
そもそも出会いは一年前だし、十分だよね。

「私も、潤也さんと幸せになりたいですし、幸せにしたいです。よろしくお願いします」

私の返事に彼は嬉しそうに私の左手薬指に指輪を嵌めたのだった。

甘味好きの御曹司に、甘く愛されて、どうやら初めての恋、初めての彼は私の旦那様になるみたいです。

きっとケーキ以上に甘い日々が始まる予感に、私の頬は緩むのだった。

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