愛というもの~哀しみの中で~
1
「あれ?新人さん?君可愛いね。」
軽い感じでそう声をかけられたのが大吾との出会いだった。

私は中学まで児童養護施設で育ち一度は高校進学を諦めた。
でも中卒の自分を雇ってくれる所なんてそんなにはなく、やっと就職した先では度を超えるセクハラの末、ホテルに連れ込まれレイプされた。
その上司から逃げるように会社を辞め、アルバイトを転々とし何とか貯めたお金で定時制高校に17才で進学した。
定時制高校では昼間働いてる人ばかりで年齢層もバラバラだった。
だから誰とも仲良くなろうとしない私が浮くことも何か言われることもなかった。
前髪を伸ばして顔を隠しいつも俯いているから周りには暗い印象を与えていると思っていた。

その日は始めたばかりのコンビニのアルバイトに入っていた。
店長は女性で昼間はほとんどが女性のスタッフだ。店長からは前髪をピンで留めるようにって言われ、その日一緒にシフトに入っていた美代さんに可愛くポンパドールにされていたのだ。
< 1 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop