愛というもの~哀しみの中で~
また顔から火が出そうなほど熱くなり、慌てて大吾の腕の中から出た。

「期待してないよ。ただ、さっき鏡見たら胸にたくさん付いてたから…」

「何が?」

とぼけた顔をして私の襟元を引っ張ると胸元を覗く。
思わずその手をはたき落とした。

「もう、変態。大吾は慣れてるかもしれないけど初めてのことが多すぎて頭パンクしそうなほど恥ずかしいんだから。」

私は両手で顔を覆い、叫ぶように言った。
頭上で大吾が小さく笑った声が聞こえたとたん、ギューッと抱きしめられた。

「やっぱり茉莉は可愛い。今日は一段と可愛い。好き。」

半年前までは自分がこんなにも誰かに想われるなんて考えてもいなかった。
自分の人生で今が一番最高に幸せな時かもしれない。

「ありがとう。私を好きになってくれて。幸せ。もうこんな幸せなことはないってくらい。」

「俺も幸せ。これからもっと幸せにするから。一緒に幸せになろうな。」

「罰が当たりそうで怖いからもうこれ以上はいらない。」

「何の罰だよ?俺たちってこれからだろ?」

そういって力いっぱい抱きしめられた。

その日は朝食を食べると、15時からのコンビニバイトまで大吾とデートをした。
ショッピングモールに行って由実ちゃんにお返しのインスタントカメラを買った。
カメラもいろいろとデザインが可愛くなっており、決めれないので私がひとつ、大吾がひとつとお金をだして可愛くラッピングしてもらった。
由実ちゃんに渡すとすごく喜んでくれた。今までプレゼントを交換する友達がいなかったので今年のクリスマスは本当に楽しかった。
< 111 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop