愛というもの~哀しみの中で~
「それって無理やり?何でそんなことっ…そいつ捕まったの?」

芹沢さんの声が低く怒っていた。私は言葉が出ずに頭を振るだけだった。
芹沢さんは膝の上で握りしめていた私の手を握った。私はまたビクッとなった。

「そいつどこのどいつ?俺がボコボコにしてやる!茉莉ちゃん…未成年なのにっ…警察!警察に行こう!」

芹沢さんはひどく興奮しており強く握られた手が痛かった。

「い…いい。もう帰って…」

私はやっとの思いでそう言うと掴まれた手を離そうと腕を引いた。
でも芹沢さんの力は強くてそう簡単には離してくれない。

「なんでっ?そいつは?どうしてるの?そんなひどいことしておいてっ!」

「本当に、もういいの。ほっといて。お願いします。」

私は芹沢さんに頭を下げた。

「良くないよ…そんなことって…」

顔を上げると芹沢さんは目に涙を溜めて悔しがってくれていた。
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