愛というもの~哀しみの中で~
真さんはそう遠くないと言っていたのに車に乗ってもう1時間は走っている。

「そう遠くないって、遠いですよね?」

「ハハッ、もう着くよ。本当は泊まりで来たかったけど茉莉さんが嫌がるだろうと思ってね。」

泊まりでって…
どう考えても真さんの彼女さんは嫌だと思う。
真さんは何を考えているのだろう?
私が不安定だからほっとけないのだろうけど…恭吾のことも…でも会えば真さんがいいって言うし、会わないほうが忘れられるのに…

真さんは広い駐車場に車を停めると、助手席に置いてある荷物を持ち恭吾を抱っこして公園の方へ歩いて行く。

「抱っこしなくても恭吾はもう3才ですし、歩けます。」

私はその背中を追って小走りでついていく。

「駐車場が広くて公園まで少し距離があるんだ。恭吾は小さくて車の中から見えないから歩かせると危ないよ。」

そう言ってどんどん先へ歩いて行った。
私は必死で走って追いかけるけど追いつかなくて徐々に呼吸が苦しくなった。
待って、待って…
声が出せなくてその場に立ち止まってしゃがみこんだ。過呼吸だ。
何で今?
私は何とか両手を口に当てて必死で息を吸うけど苦しくてたまらなかった。

「茉莉さん、ごめん。大丈夫?ここ車来るから、ごめんね。」

気づいたら横に真さんが戻ってきており、私を引き上げて立たせると、ウエスト辺りに手を回し担ぎ上げられた。
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