愛というもの~哀しみの中で~
「家まで送るよ。それだけだから、ねっ?」

あきらめずに私の横を歩く芹沢さんを睨みつけた。

「いつも独りで帰ってますから大丈夫です。付いてこないで下さい。」

やっとの思いで絞り出した言葉は虚しく、芹沢さんには届かなかったのか構わず横を歩いてどこかに行ってくれる気配はなかった。
本当は夜道が恐いから学校から徒歩10分の所にあるボロアパートに住んでいた。
早歩きで帰ってきたからすぐに家に着いてしまった。
私はもう自分の人生を呪うしかなかった。
きっと頑張ったって私は普通にさえできないのだ。
芹沢さんは玄関の前まで付いてきた。

「へぇ~、ここで一人暮らししてるの?えっ?おぁっ!」

私は鍵を開け、家の中に芹沢さんを引っ張り込んだ。

「私の身体は汚れてますが、今のあなたの性欲を満たすことくらい出来そうですか?」

私は睨みつけながら言った。

「あっ、いや、本当にやましい気持ちなんてないんだ。無いって言うと嘘かな?マジで茉莉ちゃんに一目惚れしたんだ。会う度に惹かれる」
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