死者の体温〜最期のメッセージ〜
そのお店のショーウィンドウには、美しいマーメイドラインのウエディングドレスが飾られていた。その美しさに藍はつい見とれてしまう。

「霧島さん、ひょっとしてウエディングドレスを見てます?」

大河が訊ねる。藍は「ええ。とても綺麗ね」と微笑んだ。大河と如月刑事の顔が真っ赤に染まった。

「霧島さんだったらシンプルなデザインが似合いそうですね。でも、豪華なのも似合いそうです!」

「お前が着ると上品に見えそうだ。きっとよく似合うんだろう」

如月刑事と大河が褒め、藍はキョトンとする。

「私が着るのはまだ先かもしれないわよ。着ることがないかもしれないし……」

「いや、それはないな!」

「はい、あり得ません!」

藍の言葉は二人に否定される。仲が悪いのになぜ、と藍は不思議に思った。

「……私は、石川さんのことを考えていたのよ。結婚式で永遠を誓ったのに、たった五年でその幸せが崩れたなんて石川さんの気持ちは……」
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