死者の体温〜最期のメッセージ〜
解剖が何件も入っているわけではない。藍は、「所長に連絡しておくわ」と言う。

「ありがとう。骨は恐らく十人分はあるだろう」

「十人!?」

藍は驚き、大声を出してしまった。十人など想像もしていなかった数字だ。

「お前がそんなに大声を出すとは珍しいな」

「予想していなかったもの」

ハハ、と如月刑事は笑う。藍は「笑わないでよ」と口を尖らせた。

「じゃあ、骨の方は頼む」

「ええ、お疲れ様」

電話を切ると、テレビはいつの間にかニュースからバラエティー番組に変わっていた。お笑い芸人が漫才を披露している。

「チャンネル、変えちゃった。面白そうだし」

「霧島さんってお笑いとか見るんですか?」

「たまに見るわ。面白いし」

「えっ、以外です!」

楽しい夜を藍は過ごした。



次の日、研究所に如月刑事と原刑事がやって来た。手には骨の入った箱を持っている。

「午前中は骨を、午後からは石川さんの解剖をしましょう」

正人がそう指示し、藍たちは解剖室へと向かう。
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