憧れの学園王子と甘々な近キョリ同居はじめました♡
「いや、あの、名前知らないので…」
初対面なんだから、聞くの当たり前だよね?
不安になってきたよ、自分に。
「あんた、桜ヶ丘学園の生徒だよな?」
なのになのに。
質問を質問で返されちゃったよ。
─── わたしが通う桜ヶ丘学園は、世間で“華の桜ヶ丘”と呼ばれている有名私立。
いわゆる政治家の息子や芸能人の娘なんかがわんさかいるお金持ち学校。
校舎だってどーんと大きくて、古くからある伝統的な佇まいだけれど、手入れが行き届いているからとっても綺麗なんだ。
ちなみに、小等部から大学部までエスカレーター式で、小等部から入学したわたしは、ここでの学生生活しら知らない。
そんな生粋の桜ヶ丘育ちのわたしを知っているってことは、この人もおなじ高校なのかな?
考えてみればどこかで見たことのあるような気が……?
噂に疎いわたしにはわからないよ。
「そうですけど…」
不信感が募る。
名乗らずに高校聞くって、もはや不思議とおり越して怖いよ!
「なら、俺のこと知ってるんじゃない?
天野翼って聞いたことないか?」